鳥羽一郎 2

鳥羽一郎 鳥羽一郎 2歌詞
1.男の港

作詞:穂積淳・結城忍
作曲:中村典正

板子一枚 生命をはった
男度胸の 海が呼ぶ
競う船出を 送ってくれる
ありがとう 浜千鳥の群よ
豊後(ぶんご) 鶴御崎(つるみざき) 男の港

踊る銀鱗 しぶきの華に
親父ゆずりの 腕がなる
照らせ男の この晴れ舞台
ありがとう 水の子の灯台(あかり)
豊後 鶴御崎 男の港

高くかかげた 大漁旗を
待っているだろう 紅椿
松浦港(まつうらみなと)は もうすぐ近い
ありがとう 黒潮の幸よ
豊後 鶴御崎 男の港


2.海の祈り

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

果てしなき 海の彼方に
水色の やすらぎを
求めた友は 帰らない
陸(おか)には住めない 依怙地な男が
木の葉の船に つかまりながら
蛙のように 歌っていると
無線をくれた ゆかいなあいつ
あいつを呑んだ 嵐が憎い

安らかに 眠れよ友と
花を投げ 伏しおがむ
おれにも明日は 知れないが
守っておくれよ おまえの力で
オイルのしみた 形見のギター
おふくろさんに 届けるまでは
いい奴でした 男でしたと
おふくろさんに 伝えるまでは

あなたには 海があるから
いいわねと 泣いていた
港の女(ひと)を おもいだす
逃げだすつもりは さらさらないけど
海には広い こころがあって
昨日の俺が 小さくみえる
荒れるな海よ おまえに惚れた
男の夢を 奪うな海よ


3.下北漁港

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

生まれたときから 吹いていた
山背の風だ 荒くれだ
ここは下北 イカ釣り舟に
命あずけた若者が
親のこころを 継ぐ港

波止場の近くの 呑み屋では
お立ちの酒が 売り切れだ
横に倒した 五合徳利
マイク代りに だきしめて
別れ歌など 聞かす奴

嵐が噛った 傷跡を
ペンキで癒やす 暇もない
海の機嫌が 変わらぬうちに
行こか尻屋の 沖あたり
霧もほどけて イカ日和


4.海の匂いのお母さん

作詞:田村和男
作曲:船村徹

海の匂いが しみこんだ
太い毛糸の チャンチャンコ
背なかをまるめて カキを打つ
母さん 母さん お元気ですか
案じております 兄貴とふたり

海が時化(しけ)れば 時化(しけ)るほど
カキはおいしく なるという
母さん あなたの口癖が
土鍋を囲めば きこえてきます
やさしい笑顔が 浮かんできます

遠く離れた 子供らに
海の匂いを くれた母
わたしは 手紙が下手じゃけど
母さん 母さん 黙っていても
伝わりますとも あなたのこころ


5.昭和北前船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

お嫁にゆくんだね
おめでとう 妹よ
きいたぜ春の 日本海
雪をかぶった 鳥海山(ちょうかいざん)が
花嫁姿に 見えてるぜ
霧の小樽と 花の新潟
結ぶ昭和の あゝ… 北前船だよ

ひとふし唄おうかね
白波が 合の手さ
盃そっと もちあげて
うたうおけさを 寒風山が
肩ふりながら きいてるぜ
恋の小樽と 酒の新潟を
結ぶ男の あゝ… 北前船だよ

仲よくするんだよ
よかったな 妹よ
泣いたぜ ここは 日本海
おれは船乗り ゆけないけれど
喜び汽笛で 届けるぜ
坂の小樽と 歌の新潟を
結ぶ昭和の あゝ… 北前船だよ


6.帰港節

作詞:鈴木宗敏
作曲:中村典正

闘い終えた 男らが
暗い波間を いま帰る
めためたに 疲れても
笑顔が こぼれるぜ
ご苦労さんねと 迎えてくれる
おふくろ港の 灯を見れば

漁場(りょうば)が 海の修羅場なら
陸(おか)はいこいの 恋ねぐら
待たせたぜ 元気かい
想いが ほとばしる
合羽を着たまま ごろねを決めた
激しい季節 もうすぐ終わる

気まぐれ海が 相手なら
稼ぎ少ない 年もある
慰めて くれるだろう
あの娘が 生き甲斐さ
岬をまわれば やさしい胸だ
花園みたいな 漁港のなかだ


7.港駅

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

とめないで いいのかい
行かせても いいのかい
女の胸に 問いかける
吹雪が白い 港駅
長い線路は ここでとぎれて
これより先は
風もひゅるひゅる 津軽海峡

薄情な 男には
薄情で お返しさ
女は低く つぶやいて
チロリをつまむ 港駅
長い恋路も ここで終って
これより先は
酒も手酌の 涙海峡

三ッ目の ドラが鳴る
熱燗をひっかけた
女は店を とび出して
波止場の先へ きたけれど
叫ぶ名前も 闇に呑まれて
これより先は
波も泣いてる 忘れ海峡


8.稚内ブルース

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

晴れれば浮かぶ サハリンの
島影呼んで 海鳥泣けば
石の乙女の 瞳から
ほろほろほろり ほろほろり
涙こぼれる 稚内

帰らぬ人の 噂さえ
いつしか消えて 波止場は残る
春のさざなみ 秋の月
あの日のままに 抱きしめて
利尻通いの 船が出る

氷雪胸に とけぬ日も
海幸呼んで また陽は昇る
つよく手をとり 生きてよと
きらきらきらり きらきらり
ゆれて輝く 宗谷湾


9.秋津島

作詞:藤原こうど
作曲:石田光輝

東シナ海 日本海
オホーツク海 太平洋
見ろよ周りは 大海原さ
明日へ漕ぎだせ 力のかぎり
あらし雨風真っただ中に
かける人生 ああ 秋津島

桜吹雪よ ハマナスよ
紅い椿よ 白百合よ
つらさ堪える 心の奥に
燃える炎は 命の花だ
めぐる月日に かさねた夢は
いつか実となる ああ 秋津島

今も昔も変らない
人間のやさしさ あたたかさ
歌が流れる 津々浦々に
胸にしみこむ 地酒の味だ
みんな故郷さ ふる里なのさ
北も南も ああ 秋津島


10.北斗船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

みぞれまじりの しぶきを頭から
浴びて乗り出す 噴火湾
海は荒れても 行かねばならぬ
今年六十の お袋さんに
ハワイ旅行が させたくて

沖の仕事は あの娘にゃ見せられぬ
見せりゃ嫁コに きてくれぬ
ねじり鉢巻き 外した跡を
櫛でならして 酒飲むときは
右も 左も 恋仇

派手にとび散る 鱗(うろこ)を花にみて
波の谷間で 花見酒
北の漁師も たそがれどきは
柄に合わない 人恋しさが
ゴムの軍手を つき抜ける


11.熊野灘

作詞:山本茂
作曲:中村典生

波と岩との 喧嘩場岬
本州南端 潮岬よ
男だったら 後には引けぬ
賭けもあるのさ 一生に一度
躍れ黒潮 熊野灘

那智の火祭り 真夏を焦がし
汗がとばしる ああ鬼ヶ城
俺の門出を 祝ってくれる
熊野三山 山また山が
はるか広がる 熊野灘

命まるごと 鯨に乗って
海を塒に 暴れた話
聞いて育った 紀州の男
だからどでかい 望みを腹に
生きて行くのさ 熊野灘


12.中仙道

作詞:里村龍一
作曲:叶弦大

旅の空日暮れて 街道に
湯煙りが流れる 宿場町
遠く離れりゃ おまえの顔が
じんと旅籠(はたご)の 灯(ひ)が点(とも)る
鳥居峠の 御岳(おんたけ)さんよ
恋しじゃないか
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
落ち葉くるくる風に飛ぶ ああ中仙道

ちぎれ雲流れて 何処へゆく
木曽駒はもうすぐ 冬仕度
杉の木立の街道 越えりゃ
今日は妻籠(つまご)の 宿(しゃく)あたり
落ち葉しぐれか おまえの声か
背中(せな)で哭いた
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
旅の寒さが身に沁みる ああ中仙道

明日は帰ろか おまえの町へ
さすらい虫よ
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
江戸はこれより八十里 ああ中仙道